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高山市政記念館 鉄柵修理
⾼⼭市政記念館
高山市政記念館は明治28年から昭和43年まで使用されていた町役場・市役所の建物で、高山観光の中心地区である陣屋にほど近い高山市三町伝統的建造物群保存地区内の南端にあります。建物は総檜製で、ガラスや瓦敷などにも貴重な材料が使われています。
観光地高山の最大イベントである高山祭りでは屋台曳き揃え、御巡幸が当記念館前で催されるため、敷地内に多くの観光客が出入りしますが、鉄柵の腐食が激しく事故の発生が懸念される為、敷地内の修復と同じタイミングで鉄柵の修復もしくは新調ができないか、当組合に問い合わせが来たものです。昨年2月から4月に数回高山を訪問し協議に臨んだ結果、新調の場合は鉄柵だけが真新しい感じになり館全体の雰囲気を損ねるであろうとの心配から、修理対応とする方針が下され、令和2年8月に契約調印し実作業に取り掛かりました。
作業期間は高山市の主要なイベントが終了し冬が訪れる前の11月に限られるため、主要な補充鋳物は全て事前に高岡で製作しました。また、雨天では補修材料の乾燥が遅く、材料が鉄ということで錆による腐食も懸念されましたので、破損部分切削から補充部品溶接、その他破損箇所のパテ補修までの作業を効率よく行う為に、何度も現地入りして治具製作を行う等周到な準備を行った上で現地工事に入りました。 11月9日より現地入りし作業に取り掛かりましたが、当週が好転に恵まれたこともあり、予定工期10日間のところ半分の5日間で作業を完了し、無事地元の工務店様に引継ぎを行うことができました。当組合での補修作業後、地元の工務店様の手配により防錆処理と塗装が施され、昨年12月末に無事検査合格との連絡を受けております。
本事業は「鉄柵」ということで銅器ではありませんでしたが、銅以外の素材であっても対応が可能で、且つ予定工期内に作業を完遂できるという、高岡銅器業界の実力を存分に発揮した事業であったと考えます。
明治期のモダンデザインが時を経て景観にマッチしています。
左端の穂先が今回新調したもの(計54個のパーツを新調しました)。
現場にて金属パテを調合。
亀裂部分にパテを埋め込み、手作業で成形していきます。
作業中の組合員。